エメラルドグリーンに輝く海、カラフルなサンゴ礁、多様な海洋生物が生息する楽園・パラオ。この美しい自然環境を守るため、パラオでは画期的な取り組みが行われているのはご存じですか?

パラオの美しい海を守るために~世界初の環境保護誓約「パラオ・プレッジ」とは?
パラオは、環境保護のために入国に関わる法律と入国手続きを変更した世界初の国です。観光客は入国時に「パラオ・プレッジ(Palau Pledge)」に署名することが義務付けられており、これは島の未来のために環境に配慮した行動を誓約するものです。

さらに、空港では手荷物検査が厳格に行われ、一つ一つの荷物は中を開けて確認されます。

知らないとまずい!化学物質がサンゴや海洋生物に与える影響
赤道直下に位置するパラオは、日本の 7~8 倍 の強い紫外線にさらされています。
美しい海でマリンアクティビティを思いきり楽しむためには、適切な日焼け対策が欠かせません。一方で、環境を守りながら安全に楽しむために、サンゴ礁に配慮した日焼け止めの準備が必須になります。
毎年、海に流れ込む日焼け止めの量は 6000~14000 トンに上ると言われています。
パラオ政府は、対象となる化学物質を含む日焼け止めやスキンケア製品の販売・使用を禁止する法律を制定しています。この禁止成分は、ハワイ基準の 2 種類に対して、パラオでは なんと10 種類と世界一厳しい規制が設けられています。
この法律は 2020 年から施行予定で、持ち込んだ際は没収、輸入・販売をした際には1000ドル(約 15 万円)以下の罰金が科せられます。研究者によると、これらの化学物質は海洋生物に非常に有毒であり、サンゴの白化を促進する可能性があるとされています。

特に問題視されている成分は、オキシベンゾンとオクチノキサートです。どちらも紫外線(UV)を吸収する役割を持っていますが、サンゴの白化を促進するとされています。オクチノキサートは日本では『メトキシケイヒ酸エチルヘキシル』という成分名で表示されていますので、成分表をチェックする時には注意が必要です。残念ながら日本国内でドラッグストアなどで一般的に販売されている多くの日焼け止めにはこの成分が含まれています。
パラオへの旅行する際は、これらの化学物質を含まない日焼け止めを持参するか、パラオ国内で適法に販売されている日焼け止めを購入してください。
サンゴ礁に安全な日焼け止めは、パラオではスーパーや街中のお土産店など島内でも購入可能です。


日焼け止め選びのポイントとは?
日焼け止めを選ぶとき、まず「SPF」や「PA」の数字に注目することが多いかと思います。特に、数値が高ければ高いほど効果があると思うかもしれません。でも、実は、日焼け止め選びで重要なのは、単に高い数値を選ぶことではなく、「どのくらいの時間、紫外線を浴びるか」という点です。
まず、PA とは「Protection Grade of UVA」の略で、UVA(紫外線 A 波)に対する防止効果を示します。PA は「PA+」~「PA++++」の 4 段階で表示され、+の数が多いほど、紫外線をしっかりブロックできる力が強いことを意味します。
ただし、高い PA 値の日焼け止めを選ぶことが一見良いように思えるかもしれませんが、それが必ずしも肌に優しいわけではありません。
日焼け止めを選ぶ際には、「TPO(Time, Place, Occasion)」をしっかり考えることが重要です。自分の肌質や使用するシーンに合わせた製品を選ぶことで、より効果的に紫外線から肌を守ることができます。
例えば、ウォータープルーフ処方の日焼け止めは、水に強く、汗をかいても落ちにくいので、海やプール、スポーツなど水に触れるシーンにぴったりですが、専用のクレンジングが必要なこともあります。次に、バームタイプは固めで白浮きしやすいものの、海やアウトドアで長時間紫外線に晒される場面では特に有効です。また、スプレータイプは、外出先で手軽に塗り直せるので、日中の追いケアに最適です。


筆者は肌が敏感なので、小さな子どもにも使えるような優しいオーガニックの日焼け止めを選びました。日本国内表示規格の最高値の紫外線防止効果(SPF50+ PA++++)を持ち、紫外線 B(UV-B)と紫外線 A(UV-A)の両方から素肌をしっかり守ってくれる商品を探し当てました。
この製品は、天然由来成分のみで作られており、紫外線吸収成分や合成防腐剤(フェノキシエタノールなど)は含まれていません。さらに、汗や水に強いなど、アウトドアでも安心して使える乳液タイプのウォータープルーフにしました。

また、製品を選ぶ際の基準として、フリー成分にも注目しています。例えば、紫外線吸収剤、合成着色料、石油系界面活性剤、合成香料、鉱物油(ミネラルオイル)、アルコール(エタノール)、シリコン、動物由来原料、ナノ化原料、遺伝子組み換え原料、石油系防腐剤(パラベン、フェノキシエタノール)などが含まれていないかどうかを確認しています。
ネット通販では商品情報がこれら詳細が記載されているため、事前に日本で購入準備をしておくと安心です。
なお、パラオで滞在したホテルにに付属しているシャンプーやリンスは環境に優しいものでしたが、海に流しても安心な黒豚油脂 100%で作られた石鹸を日本から持参しました。
また、ラッシュガードを使って日焼け止めの流出を防ぐ工夫をするなど、普段以上に地球環境に配慮し、旅の準備を整えました。
パラオとの出会いをきっかけに、紫外線対策から始まった環境への配慮は、さまざまな面で地球環境を考えるきっかけとなり、より豊かな旅の思い出となりました。
皆さまもぜひ、パラオの美しい自然を守りながら、素晴らしいロングステイを楽しんでください♪
写真提供:パラオ政府観光局
(ライター・入佐 香織/登録ロングステイアドバイザー)