オーストラリアはイギリス人が入植して作った国。
マナーや習慣の面でもイギリスの影響を強く受けていますが、独立して発展していくうちに独自の物の考え方が生まれ、そこからオーストラリア的なマナーや習慣も形成されました。
また、日本とは全く違う面もあり、ロングステイの時に知らないと誤解してしまうマナーや習慣があります。
その中からいくつかをご紹介しましょう。
肩書ではなく一人の人として付き合う「平等主義」
「スコモ(ScoMo)」と呼ばれている人がいます。
今年の総選挙で首相に選ばれたスコット・モリソン(Scott Morrison)。
名前の最初の部分「スコ」と名字の頭文字「モ」を合わせたもので、スコモはこの首相のニックネームなのです。
首相なのにニックネーム?と思うかもしれませんね。
もちろん正式に呼ぶときや書くときはMrや「首相」を付けて呼びますが、本人からも依頼があり、ニックネームで呼ぶことが多いのです。
首相の呼び方だけを言っているのではなく、一般に政治家であれ、会社の社長であれ、医者や弁護士であれ、階級意識を持った人が少ないこと、つまり「平等主義」がオーストラリア文化の根本を築いています。
だから人は肩書では付き合わないで、一人の人として付き合うのが習慣。
お互いを呼び合うのも名前やニックネームで。
敬称を付けて呼ぶのは学校の生徒が先生を呼ぶときくらいです。
というわけで、オーストラリアのロングステイでは、自分がどんな立場にあるのかはあまり意識しないで、自分らしさを開花させてください。
時間が少しゆっくり過ぎる国
日本では時間厳守は当たり前。
いや、厳守どころか10分位早めに到着するのが常識になっていますね。
でもこれって、実は世界的に見ると驚異的なこと!
世界の国々の時間に対する態度をよく言い表したジョークがあります。
「もしイタリア人、ドイツ人、日本人に8時ちょうどに集まって欲しかったら、イタリア人には7時50分に来るように、ドイツ人には8時に来るように、そして日本人には8時10分に来るように伝えれば良い」。
どうでしょう、なんとなくそれぞれの民族性が伝わってきませんか。
オーストラリアはこの中のイタリア人と同じです。
会議などで集まるときは5分か10分遅れて来るのが普通。
まだ会社勤めをしていた頃、日本からきた出張者を自宅の夕食に招待したことがありました。
7時に来てくださいと伝えたのですが、その時は日本人の少し早く来る習慣を忘れていました。
「たぶん7時10分くらいにくるだろう」とのんきに構えていたら、やってきたのは6時50分。
まだ料理ができていなくて困った苦い経験があります。
もちろん遅れ過ぎなのは良くありませんが、オーストラリアでは、15分位までの遅れは普通と考えて、気楽に構えるのが得策です。
勉強し過ぎないで!働き過ぎないで!
学校でも職場でも少し頑張って勉強していたり働いていたりする時によく言われるのが「Don’t work too hard!」(この場合の「work」は勉強する、働く両方の場合に使われます)。
日本語に訳すと「勉強し過ぎないで!」「働き過ぎないで!」という意味になると思います。
最初の頃はこの言葉を言われるたびに、「私はこんなにがんばっているのに、頑張り過ぎるななんて・・いったい何を言っているんだろう!?」と少し腹立たしく思ったものでした。
でもその裏にあるのは、「頑張りすぎるとあなたの体に良くないよ」という思いやりと、一人だけ頑張っても意味ないよという戒めの混ざったものだったのです。
オーストラリアではあまり頑張る人はどちらかというと敬遠されがち。
社交面でもしっかりバランスを取りながら、ほどほどにがんばってください。
その他の知っておきたい習慣やマナー
その他にもロングステイの時に気を付けたい習慣やマナーはいくつかありますが、次のマナーや習慣を知っておくと助かるかもしれません。
- 建物や部屋の入口でドアを開けて中に入る時、すぐ後ろに同じ建物や部屋に入ろうとしている人がいたら、その人が入ってくるまで開けたドアを押さえて持っていてあげる習慣があります。
- 「レディーファースト」の習慣があるので、部屋に入るときは女性を優先。またレストランなどでのサービスも女性から始まります。
- 鼻をかまないですするのはエチケット違反です。かえって大きな音を立ててもいいのでその場で鼻をかんでください。
- 大きな咳払いや痰をはくことは嫌がられます。
知らないと誤解を招くオーストラリアのマナーや習慣の中から主なものを紹介しました。
全体的には、階級制が緩く少しゆとりを持って時間が流れる社会、そんなイメージを理解していただけたのではないでしょうか。
ロングステイの時に役立てていただけるとうれしいです。
(ライター・setsukoT)